メトラスの子宮頸がんの啓発プロジェクトの取り組みについて

日本では毎年約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人もの女性が亡くなっています。
子宮頸がんの発症は、ほとんどの場合、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが関与しています。HPVは、一度でも性交渉の経験があれば、男女を問わず、誰でも感染する可能性があります。
ですが、ご安心ください。子宮頸がんは適切に行動すれば、『唯一予防できるがん』と言われています。
メトラスでは、毎年2月を子宮頸がん啓発月間と定め、子宮頸がんの予防・検診・治療に対する正しい知識の普及に努め、また支援・活動団体を支援いたします。

主な活動内容

子宮頸がん検診 受診の推奨
全女性従業員を対象に子宮頸がん検診※1の受診を推奨し、昨年は受診率90%を達成しました。
今年度も全女性従業員を対象に丸の内の森レディースクリニック様と提携し子宮頸がん検診の受診率80%以上を目指します。
※1 検診費用は会社が全額負担、並びに勤務時間内で受診できるよう業務を調整し、社員の負担軽減を図り受診率向上に努めています。
ティールアンドホワイトリボンバッジの着用
がん対策推進企業アクション 推進パートナーに参画
厚生労働省が実施する「がん対策推進企業アクション」に賛同し、推進パートナーとして参画します。
がんへの正しい理解や、がんの早期発見・早期治療を目的としたがん検診受診の啓発活動に取り組み、がんになっても働き続けられる環境づくりに努めて参ります。

がん対策推進企業アクションHP
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/

Working RIBBONへの参加
がん対策推進企業アクション女性会議「Working RIBBON(W RIBBON)」は、女性の経営幹部やリーダーが中心となり、企業の女性のがん対策を牽引するプロジェクトです。
弊社では子宮頸がん検診受診率80%以上を目指す「80%チャレンジ宣言」を行っています。
e-ラーニングの受講
少しの知識と行動で運命が変わる病気、がん。
健康な今だからこそ、もしもの時に備え、知識を身につけていただくようe-ラーニング『がん予防と両立支援』の受講を推進しております。
弊社では、がんに対する正しい知識を身に着けることを目的とし、全従業員を対象に、eラーニング受講率70%以上を目指します。

eラーニング
『がん予防と両立支援』

監修:中川 恵一 先生
東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授
厚生労働省がん対策推進企業アクション議長
文部科学省「がん教育」の在り方に関する検討会委員

子宮頸がんとは

子宮頸がんは子宮の入口(子宮頚部)にできるがんです。
罹患原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によります。
HPVは、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
しかし、『HPV感染=がん』ではありません。HPVは通常、体の免疫力で自然に検出されなくなります。
しかし一部の自然治癒しない人は、異形成と言われるがんの前段階(前がん病変)を何年か経てから子宮頸がんに進行します。異形成や初期の子宮頸がんの段階では自覚症状がほとんどなく、症状に気づいた時には進行しているケースが少なくありません。
よって早期発見が非常に重要になります。
予防方法
子宮頸がんには2つの予防方法があります。
① HPVワクチンの接種
子宮頸がんの原因となるHPVの感染を防ぐ予防接種です。
HPVワクチンは、その種類や接種時の年齢により、2回もしくは3回の接種が必要です。
※HPVワクチン接種で100%がんを防げるわけではないため、HPVワクチンを接種した人も、20歳をすぎたら2年ごとに子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
② 子宮頸がん検診
子宮頸がん検診では、がんになる前の細胞(前がん病変)や、がんの早期発見ができます。
子宮頸がんは、初期の自覚症状が出にくく、自分では気付きにくい病気です。
そのため、20歳以上の女性は、2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
定期的に検診を受けることでがんになる前の段階で診断することが可能です。また、早期がんのうちに発見して治療すれば、ほとんど治癒が望めるがんですので早期発見は重要です。

がん検診をもっと身近に!
―丸の内の森 レディースクリニック 理事長 宋 美玄先生インタビュー

メトラス株式会社では丸の内の森レディースクリニック様と提携し、全女性従業員を対象に子宮頸がん検診※1の受診を推奨し受診率向上に努めています。
※1検診費用は会社が全額負担、並びに勤務時間内で受診できるよう業務を調整し、社員の負担軽減を図り受診率向上に努めています。

今回は、子宮頸がんとはなにか、具体的にどんな予防方法があるのか、丸の内の森レディースクリニック 理事長 宋 美玄先生にお伺いしました。
出血などの自覚症状が出てきたときは、かなり進行していると思ってください
―子宮頸がんとはどんな病気なのでしょうか?
宋先生「子宮頸がんとは、子宮頸部にできるがんのことです。ほとんどの子宮頸がんは、子宮頸部上皮内腫瘍という、がんになる前の状態を経てからがんになります。
最初はほとんど症状がなく、かなり進行してから症状が出ることが多いです。
不正出血や性交時の接触出血、おりものから変な臭いがするなど…そのような症状が出たときには、既にかなり進んでいると思ってください。」
―進行してから自覚症状が出てくるのですね。初期段階では、腹痛など「痛み」の症状もないのでしょうか?
宋先生「腹痛などはよっぽど広がらない限りはないと思います。痛みよりも、下着に出血がつく、臭いのあるおりものが出る…という症状で来院され、子宮頸がんと診断される方が多いですね。
初期のほうは症状がないので、『症状がないから私は大丈夫』と思わずに検診を受けていただきたいですね。」
―検診が大事ですね。子宮頸がんで亡くなってしまう方も少なくないと耳にします。
宋先生「そうですね。がん情報センターのHPによると、年間約1.1万人が診断され、死亡数は約3000人。5年相対生存率は76.5%です。子宮頸がんになる人は20歳代後半から増加し、30代~40代がピーク。年々死亡者数が増えています。
体中の臓器ががんになる可能性がある中、検診で予防ができるというエビデンスがあるがんは胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がんの5つのみ。
なので、子宮頸がん検診は積極的に受診いただきたいです。がんになる一歩手前で見つけることができ、早期発見ができます。」
がん情報センター:https://ganjoho.jp/public/index.html
―子宮頸がんのセルフチェック方法はありますか?
宋先生「ないですね。乳がんみたいに自分で触診して見つかるというような方法はありません。
自分で膣から検体を採取して簡易検査を行う、セルフ検査キットは存在するようですが、学会としては勧めていないですね。クリニックで子宮頸がん検診を受診することをおすすめしております。」
何歳でも効果はあるの?ワクチンの効果と年齢別アドバイス
―では続いて、ワクチン接種についてお伺いします。現在は高校1年生までが公費で受けられる対象ですが、それ以上の年齢でもワクチンの効果・意味はあるのでしょうか?
宋先生「効果はあります。高校1年生までに設定している理由は、セクシャルデビュー前にワクチンを接種することが、効果が最大であるからです。
子宮頸がんのもととなるHPVウイルスは性交渉により感染します。なので、セクシュアルデビュー前にワクチンを接種することが推奨されています。ですが、性交経験がある場合でも、ワクチンの予防効果がなくなってしまうわけではありません。ワクチン接種で予防ができるHPV型に感染していなければ、予防の効果が期待できます。また、性交渉のパートナーが多いと、HPVの感染機会が増えるため、子宮頸がんにかかるリスクが上がります。
もちろんセクシャルデビュー後に接種しても効果はあります。
例えば『今後私は同じ1人のパートナーとしか性交渉する機会がない/する気がない』と決めている方でも、一般的に25歳くらいまでの人は今後新しい人と出会って性交渉する確率も高いので、それなりに接種の効果があると言われています。それ以上の年齢の人に関してはライフスタイルにも人それぞれですが、もちろん打って損はないです。」
―何歳まででも効果はあるのでしょうか?
宋先生「はい、ある程度の有効性があると言われています。例えば45歳でも、セクシャルアクティビィがある人はおすすめ。それ以上の年齢ではライフスタイルに合わせて医師と相談して決定するのがいいと思いますね。」
子宮頸がん検診って怖い?
―子宮頸がん検診にはどのような特徴がありますか?
宋先生「子宮頸がん検診では、<がんが がんになる一歩手前>で見つかるという特徴があります。」
―子宮頸がん検診は怖いと思う方が多いと思うのですが、なにかアドバイスはありますか?
宋先生「受ける時のポイントとしては、まず不安があったら医師や看護師に伝えてください。また緊張せずに、リラックスして力を抜いたほうが痛くはないです。
あとカーテンは“開けたほうが安心なのか”“目が合うと嫌なのか”などあると思うので落ち着くようにしてもらうといいと思います。
服装については、受ける時にズボンだと全部脱がなくてはいけないので、上げるだけで済むスカートがおすすめです。」
がんというと自分には関係ないと思いがちですが…
―ありがとうございます。最後に、検診やワクチン接種を受ける方へのメッセージをお願いします。
宋先生「ワクチンに関しては、安全性が十分に検証されているので、ぜひ接種を検討していただきたいです。
検診で引っかかった方の中には、がんになる手前の異形成という段階と診断されて、婦人科で痛みを伴う検査を定期的にしている人もいます。
それに比べると、ワクチン接種は体への負担も精神的な負担もだいぶ少ないので、ぜひ予防として受けていただきたいです。
がんというと自分には関係ない、って思いがちですよね。
命や子宮を失ってしまう、定期的に婦人科で痛みを伴う検査をしないといけなくなるリスクがあるので、やはりワクチン接種はメリットが大きいです。
検診に関しては、子宮頸がんの患者様の多くが『途中で検診を受けていたらここまで広がらずに済んだのに』と言われます。なので、ぜひ受けていただきたいです。
子宮頸がん検診は早期発見、ワクチン接種は予防になります。」

連携施設の紹介

丸の内の森レディースクリニック
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング6F
HP:
https://www.moricli.jp/
丸の内の森レディースクリニックでは
院長紹介
院長 宋 美玄 先生
産婦人科専門医・医学博士・FMF認定超音波医・日本産科婦人科遺伝診療学会認定医
1976年
兵庫県神戸市生まれ
2001年
大阪大学医学部医学科卒業
大学卒業後、大阪大学医学部附属病院、りんくう総合医療センターなどを経て川崎医科大学講師就任
2009年
ロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学。胎児超音波の研鑽を積む
2015年
川崎医科大学医学研究科博士課程卒業
周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、インターネット、雑誌、書籍で情報発信を行う。
2017年
丸の内の森レディースクリニックを開業
産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的とし活動中